枝豆&とうもろこしで整える、夏バテ・湿気・食欲不振

梅雨が明けきらず、暑さが本格化し始める頃、多くの人が身体のだるさを感じるようになります。朝は口の中がさっぱりせず舌に白い苔がつき、手足は重くだるい。昼になると食欲がなく、頭がぼんやりして眠くなり、夜にはイライラしたり、顔が脂っぽくなったり、湿疹が出たりと、不快な症状に悩まされがちです。

これらは病気とまではいかないものの、日々の生活リズムが乱されているからです。実はこれがまさに季節の影響によるもの。湿気と熱がこもり、体内の陽気が滞って、脾(ひ)や肝(かん)の働きがうまくいかなくなることで、さまざまな不調が表れてくるのです。

そんな時こそ、薬に頼るよりも、まずは日々の食事を見直すのが効果的です。大自然はすでに、今の季節にぴったりの食材を用意してくれています。肝を養い脾を調える青々とした枝豆と、湿気を取り除きつつ胃腸の調子を整えるとうもろこしは、今がまさに旬。毎日の食事に取り入れることで、やさしく肝と脾を助け、暑さと湿気から身体を守ってくれる、夏の頼もしい味方です。
 

枝豆:気を補い、疲れを癒す、暑さとむくみに効く小さな力持ち

中医学では、枝豆は甘くて性質は穏やか、脾と胃の経絡に作用し、脾を健やかにして気を補い、熱を冷まし、暑気を払うとされています。また、利尿作用により、むくみの解消にも効果があります。

豆類の中でも特に穏やかな性質を持つ枝豆は、脾胃が弱く体力が落ちている方にも適しています。植物性の良質なたんぱく質を豊富に含み、体力の回復や滋養にぴったり。女性特有の湿熱によるかゆみや、生理前のイライラにもやさしく作用すると言われています。

枝豆(Shutterstock)

 

とうもろこし:胃腸を整え、湿気を排出する頼れるサポーター

とうもろこしは甘みがあり性質は平性、中医学では「調中益胃(ちょうちゅうえきい/胃腸のバランスを整え、消化機能を助ける)」の作用があるとされ、湿気を取り除き脾(ひ)を健やかに保つ働きに優れています。特に、雨が多く湿気が体にこもりやすい時期にはぴったりの食材です。

とうもろこしのひげは、薬としても用いることができ、主に体内の余分な水分を排出し、むくみを取る働きがあります。とうもろこしの粒は、胃腸の調子を整え、気の巡りを良くするとされています。便秘やむくみ、食欲不振、口の渇き、暑さによる不快感などに対して、良い効果が期待できます。

また、とうもろこしは食物繊維が豊富でありながら薬性が穏やかで、養生に適した雑穀の中でも「黄金の穀物」と言われています。

とうもろこし畑(Shutterstock)

 

肝と脾を整え、巡りをよくする最強コンビ

中医学における五行の理論――五色が五臓に通じるという観点から見ても、この二つの食材の組み合わせはまさに天の恵みです。

枝豆は緑色で「肝」に入り、また豆類には「腎」を補う性質があるため、肝と腎を同時に補い、ストレスやイライラによる気の滞りや、のぼせ・感情の不安定さを和らげる効果が期待できます。

とうもろこしは黄色で「脾」に入り、湿を取り除き、消化機能を高め、胃腸の働きを強化して、飲食物の消化吸収を助けます。

肝は気の流れを調える働きを、脾は栄養を運ぶ働きを担っています。肝と脾のバランスが整えば、気血の巡りが良くなり、情緒も安定し、消化もスムーズになります。

現代人の多くが抱える不調――たとえば、食欲がない、すぐにイライラする、顔に吹き出物が出る、お腹が張る――といった症状は、実は「肝脾不調」のサインであることが少なくありません。そんなときは、毎日の食事に枝豆ととうもろこしを取り入れてみてください。過剰に栄養を取る必要もなく、冷やしすぎることなく、体の内側から穏やかに体質を整え、夏の湿熱による不調をやさしく和らげてくれます。
 

三食に取り入れる夏の養生レシピ

【朝食|枝豆ととうもろこしの脾を養うお粥】

おすすめな体質:
朝起きたときに体が重だるい、舌に厚い苔があり、食欲がない方に。

材料:
枝豆、とうもろこしの粒、きび、生姜

作り方:
枝豆ととうもろこしをあらかじめ茹でておき、米と一緒にやわらかくなるまで煮込み、仕上げに生姜の千切りを加えます。

効能:
気を補い、脾を養い、湿を取りながらお腹を温めて、1日を元気にスタートさせる“陽の力”をサポートします。

おすすめの添え物:
紫蘇と大根の浅漬けで食欲を促し、唾液を出しやすくして、頭もすっきり目覚めます。
 

【昼食|枝豆ととうもろこしの混ぜご飯+豆腐と野菜の蒸し定食】

おすすめな体質:
昼に眠くなりやすい方、食欲が出ない方、顔が脂っぽくなりやすく、吹き出物が出やすい方に。

主食:
炊いた白米に、枝豆ととうもろこしを混ぜ込み、紫蘇とごまをふりかけます。

副菜:
蒸し豆腐、味噌炒めナス、なつめと菊花の薬膳茶

効能:
胃腸を補い、気をめぐらせ、肝のこわばりをゆるめます。皮脂のバランスを整え、消化への負担をやわらげてくれます。

午後もすっきり過ごせる、軽やかで満足感のあるお昼ご飯です。
 

【夕食|枝豆ととうもろこしの鶏スープ+とうもろこしの味噌焼き】

おすすめな体質:
夜になると肌がかゆくなったり、ほてりやすい方、イライラして眠りが浅い方に。

スープ材料:
枝豆、とうもろこし、鶏もも肉、玉ねぎ、にんじん、生姜

焼きもの:
とうもろこしに味噌を塗り、香ばしく焼き上げます。

効能:
脾を健やかにし、気を補い、乾燥を潤し、血を養います。肝の緊張をゆるめ、心を落ち着けてくれます。一日の終わりに、こうしたスープを飲めば、夏の夜のイライラがやわらぎ、ぐっすりと眠りにつけるでしょう。
 

結びに

夏になると、体が重だるく、眠くなりやすく、イライラしたり、むくんだり――そんな感覚は、身体からの「そろそろ調整が必要ですよ」というサインです。

枝豆は気を補い脾を健やかに、とうもろこしは湿を取り胃腸を整え、肝をゆるめて、胃を養ってくれます。ごく普通の食材ですが、実は“季節に寄り添い、穏やかに体を整える”理想的な組み合わせなのです。

健康は、毎日の三食から。今日から、枝豆ととうもろこしを、あなたの夏のやさしい養生法として取り入れてみませんか?

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